【まとめ】「バブルを感じる」西新宿観光
地方から東京に観光に来る時、西新宿で用がある所といえば、
都庁の展望室くらいしかないと思ってはいないだろうか?
ビジネスやショッピングに便利なだけで、観光としての魅力は確かに薄いかもしれない。
観光の目的は人それぞれだと思うが、旅をしているという事は、見知らぬ土地へ行き、何かを感じる事に意義があるのだと思う。
そこで、私が提案する西新宿観光のテーマはズバリ、
「バブルを感じる」
これに尽きると思う。
高度経済成長期末期~バブル崩壊の間に急速に発展を遂げた西新宿という場所には、
その時期の雰囲気を肌で感じる事が出来る稀有な場所であると思う。
その事を思い浮かべながら、以下に紹介する観光スポットを見てほしい。
【東京都庁】
都庁の展望室しか無い云々言っておきながら、いきなり都庁かよと思うかもしれない。
しかし…展望室から見下ろした景色ではなく、都庁そのものに焦点を当ててみよう。
設計者:丹下健三
高さ:243.4m(軒高241.9m)
階数:地上48階、地下3階
着工:1988年4月
竣工:1990年12月
総工費:1569億円
年間維持費:40億円
建築当時は日本一の高さを誇るビルだったが、今となってはそれほど高いわけでもない。
だが…高いのは高さではなく、何より目を引くその総工費
せ・・・せんごひゃくろくじゅうきゅうおくえん…
あのスカイツリーだって総工費は650億円。
商業施設を殆ど含まず、賃料などの収入も得られない、ほぼ、東京都職員の為だけの建物に1600億円弱を投じてしまうその豪気は
1988年というバブル最盛期かつ末期という時代が成せるわざだろう。
まぁ、当時でも税金の無駄遣いだと批判も多かったが…
また、バブルの負の遺産としての側面も大きい。
その特殊なデザインを優先させるあまり、建築費用もそうだが、
維持費や、今後の改修費用も莫大であり、
もういっその事、都庁を別に立て直した方が安いかもしれないとの事。
バブル崩壊後、「バブルの塔」などと揶揄された事もあった都庁だが、
過去から未来まで、存在する限り税金が垂れ流される。
バブルの塔、今だに健在である。
ハイアットリージェンシーのフルクリスタルシャンデリア
さて、バブルの塔たる都庁本庁舎のお隣にある、ハイアットリージェンシー東京
昔は、名前はホテルセンチュリーハイアットと言って、バブル時代には誰もが憧れた高級ホテル
当時は、室料がバカ高くても、高級車を乗り付けて来る宿泊客で予約が一杯だったが、そんな時代はあっという間に終わってしまった。
低迷を続け、やっと重い腰をあげてリニューアル。室料も安くなって、名前はハイアットリージェンシーに変わった。
だが、今でも、ロビーに入ったその瞬間。頭上を見上げれば、そこには確かな「バブル」がある。
何と、当時の値段で一基5000万したというフルクリスタル製の超巨大シャンデリアが3基ぶら下がっている。
キラキラと輝き、見とれてしまう綺麗さだ。今作ると一体幾らかかるんだろうなぁ…
損保ジャパン東郷青児美術館で見るゴッホのひまわり
絵画にさほど興味が無い人でも、名前だけは知っているであろう画家、ゴッホ。
大胆な色彩感覚で「情熱の画家」などと呼ばれ、ポスト印象派を代表する画家である。
晩年には自らの耳をカミソリで切り落とすという事件を起こし、精神病院への入退院を繰り返しながらも、
絵を描き続けるものの、ピストル自殺によって亡くなってしまう。
現代、これほど高名を轟かせているゴッホであるが、生前に売れた絵は1点のみという事もあり、「不遇の画家」などとも呼ばれる。
そのゴッホが描いた「ひまわり」という、これまた有名な絵がここにはある。
ちなみにひまわりは幾つもの展示室を通り過ぎた最後の部屋にあるので、
興味のない企画展の際は最後まですっ飛ばしてもいいかもしれない(おい)
最後の部屋にたどり着くと、そこにはひまわりがある。当然、手を触れる事は出来ない。
手を触れられないどころか、間近で見ることもできない(えええええ!?)
件の絵は大きな防弾ガラスで出来たケース内に設置されており、ガラスにぴったりくっついてもその距離は2メートル程。
有名な絵画であり、評価は他に任せるとして…
絵にあまり詳しくない私としては…「やたら厚塗りの絵だなぁ…」という感想しか出てこなかった…
しかし…バブルを感じる西新宿の旅として、
「ゴッホのひまわり」を見るとき、もう一つ頭に入れておかなくてはいけない大事な事がある。
それは…この絵の購入価格である。
時は1987年。バブル景気のまっただ中。
安田生命(現:損害保険ジャパン日本興亜)は、
オークションに出品されたゴッホのひまわりを、3992万1750ドルをかけて落札・購入。
当時のレートで…何と日本円にして53億円…
もちろん、当時の史上最高落札値を記録したそうだ…
さらにオークション手数料と保険料もあわせると58億円かかったという。
ごじゅうはちおくえん!?
絵というのはつまり、紙と絵の具である。
確かに世界的に有名な画家の描いた絵かもしれないが…
その根本は紙の上に絵の具の塊が乗った物体を…一企業が58億円もの財を投じて買ってしまう。
その当時の日本人が58億円の価値があると信じ、58億円の値段で買った絵を、誰でも500円の入場料を払うだけで見る事が出来る。
そこからは、得体の知れない何かを感じる。そう…これが「バブル」というものなのか…と深く考えさせられるのである。
【番外編】新宿駅の朝ラッシュ
新宿で「バブル」を感じる旅はいかがだっただろうか。最後に、バブルとは何も関係無いが、
地方から観光で来る人にとっては人生で初めてのエキサイティングなアトラクションになるであろう、新宿駅の朝ラッシュを紹介しよう。
1日平均乗降客数約350万人。これは世界一の乗降客数で、横浜市の人口に匹敵する数の乗客が毎日利用していると思えばだいたい合っている。ちなみに年間乗降客数は13億弱になり、中国の人口に匹敵する数になる…。
ちなみにこの数字には改札をくぐらないJR→JRの乗り換えの数は算出することが難しいので入っていないそうだ…。
そしてその殆どが、通勤ラッシュ時に乗り降りする。どこを見ても人 人 人 人 人 人 人 …。
目的の改札口がどこにあるかを予め知っていなければ、人の波にあっという間に流されて、気がつけば目的とは違う改札にいるという絶望を漏れ無く味わう事になる。
別の改札に移動するには、押し寄せる人の流れに逆流するという離れ業が必要になり、場合によっては(西、東口⇔南、東南口の移動など)隙間もない程に混雑したホームを、押し寄せる人に逆らって移動する事になり、大変苦労する事になるだろう。
もう二度と経験したくないと思うかもしれないが(笑)新宿駅を通勤に使っている幾多のサラリーマン達は毎日これを経験しているのだ。
観光がてら、人生に一度は体験しておいてもいいかもしれない。
この記事へのコメントはありません。